今週の卓話要約


「トキと『いしかわ動物園』」
いしかわ動物園 園長 石川県観光交流局 次長
石川県県民ふれあい公社 副理事長 美馬秀夫 氏

小林 清彦氏   氏は、京都市出身で、京大農学部を卒業後石川県庁に奉職、爾来35 年間自然保護行政一筋に歩まれ、今年4月から園長を務めておられる。
  いしかわ動物園は、平成5年に旧金沢サニーランドが経営難で県に移管され、平成11 年に辰口に移転、今年開園10 年を迎え、これまで320 万人以上が来園している。面積は約23ha で、上野や旭山の15 ha 程度よりはるかに広く、120 種700 点の動物、50 種3000 点の魚類を展示し、年間31 万人が来園している。園は、「楽しく遊べて学べる動物園」「人、動物、環境の3つにやさしい動物園」を目指しており、地域と地球に迷惑をかけない動物園ということで、平成13 年に環境大臣表彰を受けている。このいしかわ動物園に、約40 年ぶりに、早ければ年内にトキが里帰りすることになり、その準備が進んでいる。
  朱鷺は、学名Nipponia nippon といい、翼開長140cm、水辺等の小動物を食べて生きている。かつては日本に広く生息していたが、その後激減し、昭和27 年特別天然記念物、昭和35 年国際保護鳥に指定されている。激減の理由は、明治時代の乱獲、大正・昭和時代の開発と農薬汚染であり、昭和45 年には能登穴水で捕獲したトキを佐渡保護センターに移送したが翌年死亡、平成15 年には日本産トキは絶滅した。平成11 年、中国からつがいのトキが贈られ、人工増殖に努めた結果、毎年20羽程度が生まれ、自然繁殖も含めて現在160 羽程度いる。なお中国には、飼育下で500 羽、野生で500 羽の計1,000 羽あまりがいる。
  平成20 年、トキの野生繁殖と鳥インフルエンザによる一挙死亡を防ぐため、9月に10 羽の放鳥を実施するとともに、12月には分散飼育を決定した。石川県、島根県出雲市、新潟県長岡市が名乗りを上げ、今後1〜3年かけて移送を受けることとなった。
  石川県は、16 年1月に、県には飼育繁殖技術を磨けるいしかわ動物園がある、本州最後のトキの生息地であったことから、分散飼育に名乗りを上げた。園では、16 年秋から、近縁種であるクロトキとホオアカトキの飼育を開始し、18、19 年にクロとシロの人工飼育、19、20 年にクロとホオアカの自然繁殖に成功、21 年には難度の高いホオアカの人工飼育にも成功した。今後ますます腕を磨き、トキを日本に完全に復活させたい。
  動物園に来ると、みんなが笑顔になる。人と動物が共生する地球の命の重要性をますますアピールして行きたい。



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